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彼は世渡りの道に裏と表の二条ふたすじあるを見ぬきて、いかなる場合にも捷径しょうけいをとりて進まんことを誓いぬ。されば叔父の陰によりて陸軍士官学校にありける間も、同窓の者は試験の、点数のと騒ぐ間まに、千々岩は郷党の先輩にも出入り油断なく、いやしくも交わるに身の便宜たよりになるべき者を選み、他の者どもが卒業証書握りてほっと息つく間まに、早くも手づるつとうて陸軍の主脳なる参謀本部の囲い内うちに乗り込み、ほかの同窓生なかまはあちこちの中隊付きとなりてそれ練兵やれ行軍と追いつかわるるに引きかえて、千々岩は参謀本部の階下に煙吹かして戯談じょうだんの間に軍国の大事もあるいは耳に入るうらやましき地位に巣くいたり。
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