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「文学に紅葉氏一葉氏を顧みる時代ではない。これらの人々は諸君の先例になるがために生きたのではない。諸君を生むために生きたのである。最前さいぜんの言葉を用いればこれらの人々は未来のために生きたのである。子のために存在したのである。しかして諸君は自己のために存在するのである。――およそ一時代にあって初期の人は子のために生きる覚悟をせねばならぬ。中期の人は自己のために生きる決心が出来ねばならぬ。後期の人は父のために生きるあきらめをつけなければならぬ。明治は四十年立った。まず初期と見て差支さしつかえなかろう。すると現代の青年たる諸君は大おおいに自己を発展して中期をかたちづくらねばならぬ。後うしろを顧みる必要なく、前を気遣きづかう必要もなく、ただ自我を思おもいのままに発展し得る地位に立つ諸君は、人生の最大愉快を極きわむるものである」
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