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駅前の大通りを少し下って行ってみると、さっき断られた大きい宿屋の向いに、平屋の広い背の低い家があった。その恰好かっこうが夜目にも何となく昔の宿しゅくの宿屋を思わせるものだったので、思い切って前の硝子戸ガラスどをあけてみた。戸には鍵かぎがかかっていなくて簡単にあいて、中に広い土間がある。家の中は真暗であるが、真中まんなかに長い廊下があって、その一隅に燈火管制をした電燈がついている。其処そこの障子の蔭かげが帳場らしい様子である。果はたして宿屋らしい。
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