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飾屋長八は単に渋江氏の出入でいりだというのみではなかった。天保十年に抽斎が弘前から帰った時、長八は病んで治療を請うた。その時抽斎は長八が病のために業を罷やめて、妻と三人の子とを養うことの出来ぬのを見て、長屋に住すまわせて衣食を給した。それゆえ長八は病が癒いえて業に就ついた後のち、長く渋江氏の恩を忘れなかった。安政五年に抽斎の歿した時、長八は葬式の世話をして家に帰り、例に依よって晩酌の一合を傾けた。そして「あの檀那だんな様がお亡くなりなすって見れば、己おれもお供をしても好いいな」といった。それから二階に上がって寝たが、翌朝起きて来ぬので女房が往って見ると、長八は死んでいたそうである。
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